悪用されたりしちゃってたらどうしよう。
何より、あの中にはラブレターが入ってるのに。
「どうしたの?」
「き、巾着がなくて……」
「巾着?」
「うん。どこかに落としちゃったみたいで。お財布とかスマホが入ってるの」
「それって、これのこと?」
くるっと背を向けたキヨ君は、リビングのテーブルの上から何かを掴んでわたしに差し出す。
それは、どこかに落としたと思っていたわたしの巾着。
「玄関に落ちてたよ」
「よ、良かった。ありがとう」
ホッと胸を撫で下ろす。
よかった。
本当によかった。
下駄は片方ないままだけど、取りに戻ろうとは思わない。



