俺の方が、好きだけど。



ドキンドキンと高鳴る鼓動は、きっとキヨ君にも届いている。


だけど、それでもいい。


さっき、あんな目に遭ったばかりだというのに…。


キヨ君なら、全然怖くない。


むしろ、ギュッとすることで安心するんだ。



「か、花梨ちゃん……?」



「お願い。少しだけ……このままでいさせて」



キヨ君の胸に顔を埋める。



「いいけど……俺が持つかどうか」



「え?」



「いや、こっちの話」



よくわからなかったけど、安心感を求めるようにキヨ君の首元をギュッとし続けた。



「足のケガ……手当てしてあげる」



しばらくして、キヨ君が耳元で囁いた。


そういえば、足をケガしてるんだったっけ。


ズキンと親指の間が痛んで、改めて実感させられる。


キヨ君に回していた手を緩めると、キヨ君はわたしから顔を背けるようにしてスッと立ち上がった。


なんだか……耳が赤いような気がするのは気のせいかな。