「やっぱり、もうちょっと殴ってやれば良かった。花梨ちゃんをこんな目に遭わせやがって」
悔しそうにギリッと唇を噛むキヨ君。
切なげに揺れる瞳に胸が締め付けられる。
「もっと早く見つけてやれなくてごめん」
「だ、大丈夫だよ……っ。キヨ君、わたしのヒーローみたいだったもん」
だからお願い。
そんな顔をしないでよ。
「そんなにいいもんじゃないよ。花梨ちゃん、俺のこと過大評価しすぎ」
耳に届く息遣いが、胸板から伝わる鼓動が、わたしを抱き締める腕から……キヨ君の悔しさが伝わる。
「そんなことない! すごくカッコ良かったよ。だから、そんな顔しないで」
わたしはキヨ君の首元に手を伸ばしてギュッと抱きついた。



