わたしを抱く手にギュッと力が込められる。
キヨ君は黙ったまま廃ビルをあとにした。
「キ、キヨ君……お、下ろして?」
人通りが多いせいで、お姫様抱っこをして歩くキヨ君に好奇の視線が寄せられている。
わたしは急に恥ずかしくなってうつむいた。
「ムリ。大人しく俺に抱かれてろ」
「……っ」
もう怒ってはいないみたいだけど、どこか無表情で遠い目をしているキヨ君。
「ど、どこ行くの……?」
「俺んち」
「えっ……?」
キヨ君の家?
「嫌かもしれないけど、こんな状態のまま家に帰せないし帰したくない」
キヨ君……。
やっぱり……優しいね。
ありがとう。



