俺の方が、好きだけど。



やだ。


やだよ。


なんで、好きでもない人なんかとこんなこと。


助けて……!


お願いだよっ。



助けて……っ!


キヨ君。



「うっ……ひっく」



恐怖で涙が止まらない。


怖い。


怖いよ。



——バンッ



「花梨ちゃん!!」



えっ……?


涙で濡れたわたしの目に、ぼんやりと人影が映る。


だけど、顔が良く見えない。



この声は……キヨ、君?



ううん。


キヨ君がこんなところにいるはずない。


空耳かな。



「てめえ、花梨ちゃんに何してんだよっ!!」



「なななな、なんだお前はっ!」



「汚い手で花梨ちゃんに触ってんじゃねー!」



ドカッという鈍い音が聞こえたかと思うと、体に感じていた重みが消えた。