情けないやら悔しいやらで、目にジワジワ涙が溢れる。


コウ君は、これまでにないほど冷たい目でわたしを見下ろしていた。



なんで……わたしが何をしたっていうの?



「おら、立てよ。俺の顔を傷付けたバツとして、今からたっぷり可愛がってやる」



「……っ」



髪の毛を引っ張られ、そのまま奥へと引きずられる。


こ、ここまで来たんだ。


あと少し……。


あと少しで出られるのに!



悔しくて痛くて、涙がこぼれ落ちた。



誰でもいいから、お願いだよ。


助けて!!



目を閉じると、なぜかキヨ君の顔が浮かんだ。


屈託のない笑顔で穏やかに笑うキヨ君の顔。


恐怖の中で、少しだけ温かい気持ちになれた。


キヨ君……っ。


キヨ君。