たとえ追いかけられたとしても、外に出れば人通りが多いから手荒なマネはして来ないはず。



苦しくて息が上がる。


片方だけ履いた下駄ではうまく走ることも出来なくて。


さらには気持ちも焦って、何度も転びそうになった。


下駄を履いていない方の足の裏がジンジン痛い。



もう少し……っ!


もう少し!



「待て、このクソ女!」



目の前に入口の扉が迫った時、誰かの手によって思いっきり後ろに引っ張られた。



視界がグラッと揺れたかと思うと、そのまま尻もちをつく。



「この暴力クソ女が」



「い、いたっ」



髪の毛をわし掴みにされ、頭を持ち上げられる。


ブチブチと髪の毛の抜ける音が聞こえた。


あまりの痛さに自然と顔が歪む。



どうして……なんでわたしがこんな目に遭わなきゃなんないの。