よっぽど痛かったのか、コウ君はアゴを押さえて床に転がったまま微動だにしない。


痛そうに顔を歪めていた。



逃げるなら、今しかない。


起き上がり、立ち上がる。


手は縛られたままで身動きがしにくかったけど、わたしはドアに向かって思いっきり走った。


ドアは半開きの状態で、手を使わなくても開けることが出来た。



階段を降りて外に向かう。



バクバクと心臓がものすごく速く動いている。



追いかけて来ていないか不安だったけど、姿を見たら足が動かなくなりそうで振り返れず。



とにかく走った。