今は何を言っても怒らせるだけだろうから、余計なことを言ってこれ以上刺激しない方がいい。
両脇をガシッと固められているから、逃げようにも逃げられず。
さらには履きなれない下駄を履いているせいか、親指の間にヒモが擦れてかなりヒリヒリする。
きっと、血が出ているんだと思うけど。
それを確かめることも出来ない。
そして彼らに連れて来られたのは、廃墟となった古びたビルの一室。
埃っぽくてジメジメしてるし、不快感しか感じない。
電気も通っていないのか、真っ暗で薄気味悪かった。
賑やかな通り沿いにあるビルだからなのか、外からは賑やかな声が聞こえる。
「昔、MMの事務所だった場所だ。今はもっとデカいビルになってるけどな。ヨリ、こいつの手をガムテープで縛れ」
コウ君がニヤリと笑う。
鋭い瞳に色はなく、どこか冷め切っている。
人間味がないというか、何を考えているかわからなくて怖い。
「は、はぁ? それはやべーだろ!」



