「離してってば! 触らないでよ、気持ち悪い!」
寧々は目を吊り上げながら、大きくブンブンと高野くんの手を払いのける。
高野くんはその反動でバランスを崩し、たこ焼きの入っていた袋が手から地面に落ちた。
袋から容器が出て地面にたこ焼きが落ち、一瞬で砂まみれになってしまった。
「か、海斗が悪いんだからね! どうせ、あたしの上辺しか見てないくせに! 大っ嫌い!」
寧々は戸惑うように瞳を揺らしながら、わたし達に背を向けて石段を駆け下りて行く。
うっすらと涙が滲んでいたような気がしたのは、わたしの気のせいかな。
「鈴峰、ごめん。俺、寧々ちゃん追いかけるから」
「うん! 行ってあげて! 寧々は……その、色々あって……男の人を信じられないんだよ。でも、高野くんなら大丈夫だと思うから。頑張ってね!」
「おう。サンキューな! じゃあ」
頑張れ!
心の中でエールを送りながら、走って行く高野君の背中を見送った。



