わかってる。
わたしは……キヨ君の友達にすらなれないんだもんね。
だけど、こうしていると錯覚しちゃうよ。
友達になれているんじゃないかって。
「あ、明日の花火大会なんだけど……」
声が震える。
自分から行動を起こすのって、こんなにも緊張するんだ。
「うん?」
キヨ君は首を傾げながらわたしを見る。
緊張しすぎて手が震えた。
「は、花火が始まる二十時頃に神社の入口に来て! だ、大事な話があるから……!!」
言うだけ言って勢い良く立ち上がると、ガタッと大きな音が辺りに響いた。
「じゃ、じゃあね……!」
カバンを掴むと、わたしは足速にお店を出た。
どんな顔をしているのか確かめるのが怖くて、キヨ君の顔は見れなかった。