恐る恐る手を伸ばしてチョコレートケーキを受け取る。


その時、トンッと指がキヨ君の手に触れた。


ーードキッ



ダ、ダメだ。


心臓が持たない。



わたしは恥ずかしさを隠すようにチョコレートケーキを口に運んだ。



甘くてふわふわの食感が口中に広がる。


甘い……甘すぎる。


キヨ君がそんなわたしを見て、クスッと笑った気がしたけど顔を上げることが出来ない。



「花梨ちゃん、付いてる」



「え……?」



顔を上げると、クスクス笑いながらキヨ君が自分の唇の横を指していた。



う、うそ。


慌てて唇の横を指で拭う。



「そっちじゃなくて、こっち」



「え?」



キヨ君の手が目の前に見えた瞬間、唇の横をグッと拭われた。