「ごめん、お待たせ」
ガタッと目の前のイスが引かれた音と、キヨ君の声にハッとする。
顔を上げると、キヨ君の穏やかな笑顔があった。
クリクリの大きな目が色っぽくてカッコ良い。
「はい、コレあげる」
「え? いや、でも……」
スッと目の前に差し出されたスティックのチョコレートケーキ。
わたしは大きく目を見開いた。
どうやら、デザートをまだ食べていないことを察してくれたらしい。
「いいよ。俺、甘いもの苦手だから」
「わ、わたしの為に買ってくれたの?」
「うん。だから受け取ってよ」
「ありがとう」
なんでもないことだってわかってる。
これはキヨ君の優しさなんだ。
だけど、わたしの為だなんて言われると期待しちゃうよ。
嫌われてるってわかってるけど、期待しちゃう。



