俺の方が、好きだけど。



元彼のことは吹っ切れつつあるようで、前に進もうとしているのがわかった。


だから、素直に応援したい。



「どんな人? カッコ良い? 見てみたいなー、杏子と花火大会に行く男の子!」



「普通だよ、普通。それにまだ行くって決めたわけじゃないし。それより、花梨は清野とどうなの?」



自分のことを聞かれるのは得意じゃない杏子が、強引に話題をそらした。



「……どうもしないよ。花火大会も、断られちゃったし」



悪い方向に進んでる。


嫌われちゃってるから。



「それは高野が誘ったからでしょ? 花梨が誘ったら来たかもしれないじゃん」



「そんなことないよ」



わたしが誘った方が、絶対に来ない気がする。


うっ。


そう考えるとショックがデカい。



「まぁでも、清野なりに花梨を諦めようとしてるのかもね」



「えっ!?」



諦める?