「へー。で、あたしの誘いを断るってわけね」
真っ昼間のファーストフード店で、りんごジュースを飲みながら杏子が不服そうな顔をする。
「し、仕方ないじゃん〜。あ、だったら杏子も一緒に行く?」
むくれる杏子に笑顔を浮かべる。
わたしと一緒に花火大会に行けないのが不満みたい。
「あたしが行ったら、余計におかしいメンバーになっちゃうじゃん!」
「そんなことないよ! 杏子がいてくれた方が、わたしとしては気が楽だし」
まぁ、寧々とは合わないかもしれないけどさ。
「カンベンしてよ〜! 隣のクラスの男子に誘われたから、そっちと行こうかなって思ってるのに」
「えっ!? なにそれ! 聞いてない!」
「聞かれてないからね〜!」
トボける杏子は相変わらず秘密主義だ。
だけど、以前よりも表情が柔らかくなった気がする。



