しばらくすると、高野くんが戻って来た。
そしてわたしの耳元に唇を寄せる。
「キヨも誘ったけど、用事があるからって断られた〜。力になれなくてごめんな」
「そ、そんなっ! いいよ、気にしてないから」
まさか、キヨ君を誘ってくれるなんて。
だけど……一緒に行きたかったな。
ちらっと前を見ると、キヨ君は相変わらず四組の女の子と楽しそうに話していた。
モヤモヤが大きくなっていく。
キヨ君はその子が好きなの?
そういえば、キヨ君のそんな話って聞いたことないな。
好きな子……いるのかな。
キヨ君の中身をちゃんと見てくれる、優しい子。
キヨ君はいい人だから、そんな人はすぐに見つかるよね。
そんなことを考えると、気分はどんどん沈む一方。
おまけに、涙がジワッと滲んだ。



