俺の方が、好きだけど。



先生は教室にはおらず、職員室に戻ってしまった。



絶対手抜きしてるよね。


はぁ。



それでもなんとか、わたしは教科書をあちこち捲って答えを探し続けた。



集中すればとことんやるわたしは、周りが見えなくなっていて。



「もうお昼だけど?」



大石さんにそう言われてハッとした。



「え? も、もう? って、あれ? キヨ君は……?」



集中しすぎていたせいで、目の前にいたはずのキヨ君がいないことに今になって気付いた。



「なに言ってんの! キヨ君は1時間くらい前に帰ったじゃん」



「え? ウソ」



し、知らなかった。


っていうか、この量を終わらせて帰ったってこと?


わたしは、まだ半分も終わっていないのに。



「あたしも午後からあるし、一緒に休憩してあげてもいいよ」



「な、なんでそんなに上から目線なの?」



「嫌ならいいのよ、嫌なら」



「嫌じゃないけどさ」



むしろ、化学を教えて欲しいくらいなんだけど。


でも。


そっか……キヨ君は帰っちゃったんだ。



なんだか寂しかった。