「この前、高野と一緒にいたの? イチャイチャしてるところを見たって子がいるみたいだよ」
えっ?
イチャイチャ……!?
「偶然会っただけだよ。イチャイチャなんて、してないからっ!」
ありえないんですけど。
ただ一緒にいたっていうだけで、どうしてここまで騒がれなきゃなんないの?
「だとしても、かなりウワサが出回ってるみたいだよ。頭ポンポンしながら、キスしてたとか……」
「えっ!? キ、キス? してないよ、やめてよ!」
「うん、まぁあたしはわかってるけどさ」
「あれは、ただわたしを励ましてくれてただけっていうか」
ラブラブっぽく捉えられちゃうなんて、思いもしていなかった。
女子たちからの突き刺すような視線が痛い。
「何も悪いことはしてないんだし、堂々としてなよ」
杏子はわたしの背中をバシッと叩いて励ましてくれた。
い、痛い。
でも、ちょっとだけ元気をもらえた気がする。