「え? マジ? キヨの前だと真っ赤だし、明らかに意識してるってバレバレだけど」


「ええっ……?」



ウ、ウソ。


だって、高野くんと会う機会なんてそんなになかったじゃん!


それなのに、なんでそんなこと知ってんのー?


しかも……意識してるってバレバレなんだ。



「気付かなかった? 俺ら、移動教室の時とか昼休みに結構すれ違ってたけど」


「し、知らなかった」


「まぁ、それほどキヨに夢中だったってことだろ?」


「そ、そんなこと……!」


ないって言おうとして、言葉が続かなかった。


確かに……そうかも。


最近キヨ君のことでぼんやりしてたし。


だけど、改めて言われるとなんだかすごく照れくさい。


わたし……キヨ君のこと。


なんで?


どうして?


そんなの全然よくわからないし、なにがきっかけだったのかもわからない。


でも……。


わたしは、キヨ君が——好き。


今まで認められなかったけど、高野くんに言われて気づかされた。


ううん、認めざるを得なかった。



「鈴峰もわかりやすいけど、キヨの態度はもっとわかりやすいしな。あいつ、腹黒いけどいいヤツだから! じゃあな」



えっ……?


高野くんは意味深な言葉だけを残して、あっという間にわたしの前から走り去った。