「こんなこと、鈴峰に言うのはまちがってるよな。ごめん」
高野君は申し訳なさそうにわたしに頭を下げた。
「ううん! いいの。わたし……もう」
高野くんのことは吹っ切れたから。
その気持ちを込めて満面の笑みを浮かべる。
「応援してるから、頑張ってね!」
今は心から高野くんの恋を応援することができる。
だけど、わたしにできるのはここまで。
もう、気にするのはやめよう。
キヨ君の言う通り、わたしが首を突っ込む問題じゃなかった。
二人の問題だもんね。
それに、高野くんも頑張るって言ってるんだもん。
わたしは応援だけしていればいいんだ。
「ありがとな」
ポンポンと優しく頭を撫でられ、思わず固まる。
学校の人気者に慣れないことをされて、ましてや前に好きだった人ということもあって。
徐々に頬が熱くなった。
「ぷっ」
至近距離で顔を覗き込まれ、高野くんはなぜか豪快に噴き出した。