昨日のわたしは気持ちを伝えることよりも、プライドを守ることに必死だった。
バカみたいに体裁を気にしてた。
惨めな思いをしたくなくて、自分を守ることに必死になってしまっていたんだ。
ばかだよね。
最初は振られる覚悟をしていたっていうのに、いざそれを突きつけられると必死になって守ることを選ぶなんて。
「で、どうするの?」
杏子はため息混じりの声で呆れたようにわたしを見る。
「どうするのって言われても……もう、諦めるしかないよ。大石さんに敵うはずもないし」
高野くんとは二年生になってクラスも離れたし、これといって接点もなくなってしまった。
もともと住む世界が違ったんだ。
きっともう、この先関わることはないだろう。
昨日の一件でわたしは『変な奴』って認識されちゃっただろうし。
「またそんな気弱になって。行動次第で変わるかもしれないじゃん。何もしない内から諦めるなって、いつも言ってるでしょ」
杏子なりに励ましてくれているんだってわかってる。
だけど、行動した結果がこれだよ?
まさか顔と名前を知られていないなんて、思いもしないんだもん。