俺の方が、好きだけど。



気に障ったのか、鋭くわたしを睨み付けて来る。



「男なんてみんな一緒だよ。ちょっと愛想を振りまけば、すぐに好きって言ってくる」



冷静だけど、怒りを抑えているような声で大石さんは続ける。


怒りの中に寂しさも見えて、何とも言えない気持ちになった。



「そんなの信じられるわけないよね。だいたい、あたしは人を好きになったことなんかないし、これからも好きにならないよ」



わたしは何も言えなかった。


これまでのツラい経験がトラウマになってるんだよね。


わたしなんかが首を突っ込んでいい問題じゃない。


大石さんは無言でパクパクお弁当を食べていたけど、わたしは何だか食欲がなくて半分くらいしか食べられなかった。