俺の方が、好きだけど。



雲ひとつない快晴の空の下、中庭の木陰のベンチに並んで腰を落とす。


大石さんはさっきから一点をじっと見つめたまま、ぼんやりしている。


沈黙がなんだか気まずかった。



「海斗のことで話があったんじゃないの?」



はぁとため息を吐いたあと、お弁当箱を袋から出して、横目にわたしを見る大石さん。


ピンクの小さなお弁当箱が膝の上に乗せられる。



「うん、それもあるけど。大石さんは、本当に高野くんを好きじゃないの?」



わたしは、手にしていた水筒をギュッと握り締めた。



「まだそんなこと言ってんの? 好きじゃないって言ってるでしょ。顔の良い男は嫌いなんだってば」



冷ややかなその目は、ほんとに嫌っているようだった。



「でも、楽しそうに話してる時もあったじゃん。いつもうっとおしかったわけじゃないんでしょ?」



嫌そうには見えなかったよ?