六月も終わりに入って、梅雨明け間近という頃。
「大ニュース!!」
放課後、隣のクラスの前を通りかかった時、そんな声が聞こえてふと足を止めた。
去年同じクラスだったウワサ話が大好きな女子が、目を輝かせながら得意気に鼻をすすっている。
教室に残っていた女子達は、何事かとその子の周りを取り囲んだ。
「さっき体育館裏で、高野くんと大石さんが別れ話してるの聞いちゃった〜!」
えっ……?
別れ、話?
ドキリとする。
「しーかーもー! 振ったのは高野くんじゃなくて大石さんっ!!」
机をバンバン叩きながら、まるで大スクープを撮ったみたいに大げさなリアクションをしている彼女。
「さーらーにー! なんとっっ!!」
ここからが本番だよとでも言うように、もったいぶって溜めるところなんかはさすが話し慣れているだけはある。