俺の方が、好きだけど。



「え?」



意味がわからないと言うように、キヨ君は首を傾げた。


目を真ん丸く見開いて眉を寄せている。



「あ、ううんっ! なんでもないから、気にしないで」



へへっと愛想笑いでゴマかして目をそらした。



これ以上話していると、さっきの子に対して醜い気持ちばかり沸き起こる。


わたし……こんなに性格が悪かったんだ。


なんだかショックだよ。


ドヨーンと沈んでしまい、なんだか自己嫌悪。


はぁ。



「なんか今日の花梨ちゃん変だよな」



「えっ? そ、そんなこと、ないよ……!」



「ふーん」



キヨ君は不服そうにしながらも前に向き直った。



「花梨って前もそうだったけど、ほんとわかりやすいよねー! 可愛い!」



杏子に肩を掴まれる。


わかり、やすい?



「なにが?」


「自覚してないところがまた可愛いよね!」


「意味がわからないよ」