キヨ君を前にすると、途端に心臓が激しく高鳴り始める。
ありえないほど大きな鼓動に、左胸を手でギュッと押さえた。
どうか……この胸の高鳴りがキヨ君に聞こえていませんように。
ねぇ……どうして?
なんでこんなにもドキドキするの?
顔が熱くて、真っ赤なのがわかった。
今までこんなにドキドキしたことなんてなかったのに、不思議でたまらない。
「またボーッとしてんの?」
目の前でキヨ君がクスリと笑った。
その笑顔に、さらに胸が高鳴る。
「う、ううん……っ! キヨ君、女友達いたんだなぁって」
身振り手振りでなんとかゴマかす。
キヨ君にドキドキしてたなんて、絶対に言えないよ。
「え? ああ、まぁね」
ニコッとはにかみながら言うキヨ君。
やっぱり、友達だって認めるんだ。
「じゃあ……わたしは?」
友達じゃなかったら……一体キヨ君のなに?



