「気になる? 清野のこと」
杏子に顔を覗き込まれてハッとする。
わたしったら、ついキヨ君のことをガン見しちゃってた。
それほど、キヨ君が他のクラスの女子と話すのは珍しい光景だった。
「うん……キヨ君、女友達いたんだね」
みんなから憧れられる存在で、見た目でしか判断してもらえないって言ってたから、てっきりいないもんだと思い込んでいた。
「清野は誰もが認める王子様だからね〜。モテるし、華やかな人に囲まれるのは当然だと思う。女友達のひとりくらいはいるでしょ」
「うん……だよね」
なに今さらショックなんか受けてんのよ、わたし。
わかってたことじゃん。
わたしとキヨ君じゃ、住む世界が違うって。