「ほら早く。相手を待たせてるんだからね」
カバンから定期を出すのにもたもたしていると、すでに改札を出た大石さんがわたしを急かした。
相手……?
他にも誰かいるってこと?
だったらなおさら、わたしお邪魔じゃない?
なんて思いながら定期をかざして改札を抜ける。
「ね、ねぇ、わたしはいない方がいいんじゃ……」
「いいから、早く行くよ」
ーーガシッ
再び腕を掴まれて、有無を言わさず歩かされる。
え、えー!?
だいたい、行くなんてひとことも言ってないんですけど〜!
駅の中は結構広くて、出口も北と西がある。
いつも利用してる北口とは違う西口に向かって、大石さんは突き進んだ。
西口の方は大きな繁華街があって、ゲーセンやカラオケ、駅ビルがたくさんあって賑わっている。



