見る限りでは、大石さんは高野くんに対して普通に受け答えしている。



「ラブラブだよね……?」



「へっ? 高野と大石さんのこと?」



「うん……」



「だね〜。高野の一方通行って気もするけど」



杏子が興味なさそうに答える。



「一方通行、か」



言われてみれば、そんな気がしないでもない。



高野くんと一緒にいたら、優しさとか雰囲気にクラッときそうなもんなのに。



そんなに単純なものじゃないのかな。



高野くんと付き合い始めてから、大石さんはいつも一緒にいた友達二人と距離が出来たようだった。


教室では常にひとりでいるし、移動教室の時も前まで一緒にいた子達とは別行動をしている。


お昼は高野くんが来るし、その周りには自然と人が集まるから浮いているってことはないけど。


それでも、クラスに仲の良い友達はいなさそうだった。


大石さんはいつも毅然としてるから、多分何とも思ってないんだと思う。



「ひゃあ!」



なななな、なに……!?


突然頬にヒヤッとした冷たい物が当てられて、ビックリして思わず叫んだ。


周りにいた子がチラッとわたしを見る。



ううっ。


「ぷっ。花梨ちゃん、ビックリしすぎ」



えっ?