あれから3日。
教室の中は、これまでと特に何の変化もない。
高野くんは昼休みだけ教室にやって来て、ニコニコしながら大石さんに話しかけている。
それはもう、これ以上にないってくらい幸せそうな顔をしながら。
ジメジメして蒸し暑いっていうのに、高野くんは元気だった。
高野くんの笑顔を見る度に、複雑な気持ちが込み上げて来る。
「花梨、見すぎ」
「へ?あ……つい」
杏子が呆れたようにわたしに目をやる。
「まだ未練があるんだね」
「うーん。未練っていうか……ただ気になるだけっていうか」
二人でいるところを見ても、前ほど胸が苦しくなることはない。
吹っ切れたのかどうかはわからないけど、どうしても高野くんのことが気になった。
大石さんのことも気になるし。