俺の方が、好きだけど。



「あ、あのっ……!」


緊張から足がガクガク震えて、倒れそうになる。


でも、足に力を入れて必死に踏ん張った。



よかった、手紙を読まれる前で。


それだけが救いだよ。


恥をかかなくて本当によかった。


だって、こんなのばかみたいじゃん。


振られるだけじゃなくて、存在を知られてなかったんだもん。


みじめ……すぎるよ。



目の前には、学年でもかなり目立つ高野くんがいる派手な男子のグループ。


みんなポカンとしてわたしを見ている。


イケメン揃いで、先輩や後輩はもちろん、他校の女子からもすごく人気があるらしい。


チャラチャラして派手だから、杏子は嫌だって言ってたけど……。


わたしは、その中でも一番目立つ高野 海斗くんが好きだった。


そう……大好きだった。


だからこそ、すごく苦しい。


胸が張り裂けそうに痛い。


拳をギュッと握ると、力が強すぎたのか爪が皮膚に食い込んで痛かった。



「す、鈴峰花梨ですっ……!」