浮気じゃないなら、昨日のあれはいったい何?


好きじゃない人に、好きだなんて普通なら言わないはず。



「あはは。そんなの本気で言ってるわけないでしょ?」



「えっ……?」



「あの人、お金だけは持ってるからその気にさせて色々買ってもらってるだけ。『好き』って言ってれば、なーんでも買ってくれるし便利だよ」



な、なにそれ……。



「じゃあ、高野くんが本命なの……?」



「やだー、やめてよー! ありえないから!」



大石さんはあからさまに嫌そうな顔をしてみせた。


大げさに首をブンブン横に振って、思いっきり否定している。



「あたしの外見しか見てないんだよ? カッコよくてモテる男って一番嫌い。高野くんみたいな、誰からも好かれてるような人は特にね」



「な、なんで……? じゃあ、どうして付き合ったの?」



嫌いなら、付き合わなきゃ良かったじゃん。


意味がわからないよ。