俺の方が、好きだけど。



「そーだよな。お前は大石(おおいし)さん一筋だもんな。他の女を相手にしてるヒマはねーか。いい加減、早く告れよな!」



「うっせーっつーの」



からかわれて不機嫌そうな声を出す高野くん。


大石、さん……?


学年で一番綺麗な大石さんのこと……?



高野くんって、大石さんのことが好きだったの?


そう、だったんだ……?


知らなかった、なんにも。


高野くんのことを、なにひとつ。


ショックを隠しきれなくて、惨めな気持ちになっていく。


大石さんは学年で一番モテている人気者の女の子。


わたしなんかじゃ比べ物にならない。


敵うわけないよ……。



「照れんなって! 一年の時からずっと片想いしてるくせに」



ズキッと痛む胸が、これ以上なにも知りたくないと悲鳴をあげている。


新たに知る事実に、逃げ出したくてたまらない気持ちでいっぱいになった。



なんで想いを伝えようなんて思ってしまったんだろう。


なんで……。



自分がものすごく惨めに思えて、情けなくてたまらない。



いても立ってもいられなくなって、気付くとわたしは彼らの前に飛び出していた。