俺の方が、好きだけど。



わたしは無意識にキヨ君の腕を引っ張って、大石さんがいる真後ろまで距離を詰めた。


だって、これって浮気だよね……?


大石さんは高野くんと付き合ってるんだから。



「俺、寧々のことしか頭にねーよ。マジ好き」



「本当〜? 嬉しい! あたしもタクのことが大好きだよ〜!」



「お前、マジで可愛いな」



「ありがと〜! じゃあさぁ……今度、新しく出たブランド物のバッグ買ってくれる?」



「もちろん」



「やったぁ、ありがと〜!」



そんな二人の会話が耳に届いた。


どう考えてもカップルにしか思えない。


大石さん……この人のことが好きなの?


わけがわからないよ。



考え込んでいると、目の前の大石さんがチラッと後ろを振り返った。


一瞬だけ目が合ったような気がしてドキッとしたけど、大石さんは何事もなかったかのように前を向く。


気のせい、かな……?


暗かったし、気付かなかったのかも。



それから信号が青になって、大石さんは弾むような足取りで男の人と暗闇に消えて行った。



「花梨ちゃん、行こ」



「えっ?あ……うん」



二人の背中が見えなくなった頃、キヨ君に腕を引っ張られてハッとする。