「言ったじゃん。今日は思う存分付き合うって。花梨ちゃんが元気になるなら、朝までだって付き合うよ」
「そうだけど……悪いっていうか。っていうか、朝まで?」
キヨ君はたまに、冗談なのか本気なのかわからないことを真顔で言う。
「俺的には遠慮される方が嫌なんだけど。ってことで、甘い物食べに行くことに決定〜! 朝までっていうのは、ものの例えだよ」
「…………」
まぁ、キヨ君がいいならわたしはいいけど。
こんなわたしに付き合ってくれるキヨ君は、いい人だ。
声が枯れるんじゃないかってほど歌ったあと、わたし達はお店を出た。
少しだけ心が軽くなったような気がするのは、まちがいなくキヨ君のおかげ。
……ありがとう。
「やっぱり夜は冷んやりするよなー。昼間との気温差で風邪引きそう」
キヨ君がブレザーを羽織りながら身震いする。
「そうだね。季節の変わり目って、体調崩しやすいっていうし。男の人って髪が短いから、それだけで風邪引きそう」
「あー、ね。俺、毛量多いから、頭寒いと思ったことないよ」
「あはは、そうなんだ」
キヨ君と話していると楽しくて自然と笑顔になれる。
駅周辺はわりと都会だから、多くのカップルやサラリーマンが行き交っている。
ぶつかりそうになりながら、なんとか人を避けて歩いていたわたし。



