俺の方が、好きだけど。



真剣な声にドキッとする。


キヨ君……?


「ごめんっ、なに言ってんだろう俺。気にしないで」


パッと体を離されて、キヨ君はそっぽを向いてしまった。


そして、自分の髪の毛を手でわしゃわしゃとかき回す。



「キヨ君……?」



「ごめん、マジで何でもないから」



ほんとに……?


だって、なんだか言いたいことを堪えているように見えるよ。



「とにかく。あんな奴のことなんか早く忘れろよ。これ以上、花梨ちゃんが傷付く必要ないから」



「あ……うん」



有無を言わさない力強いキヨ君の瞳に逆らえなくて、わたしは素直に頷いた。



そうだよね。


いつまでもウジウジしてたって、高野くんがわたしを好きになってくれるわけじゃない。


気持ちにケジメをつける為に伝えたんだもん。



「キヨ君……っ。わたし、歌ってもいいかな?」



ツラい時こそ、歌って発散だよね。