俺の方が、好きだけど。



ショックで動揺を隠せない。


ほんと、ばか。


存在を知らない人から告白されたって、嬉しくもなんともないはずだ。


気持ちを知ってもらえればそれでいいって思っていたけど、もういいや。


恥ずかしさと情けなさとやるせなさが一気に押し寄せて、涙がジワジワ浮かんで来た。



……悲しい。



想いを伝えようとしたことを、今になって初めて後悔した。


話しかけるのもためらってしまうような内気なわたしなんかが、高野くんを好きになること自体まちがいだったんだ。



「で、なんて書いてあんだよ? 今読めよな」



「読まねーよ。読むわけねーだろ」



少し面倒くさそうな、イライラしたような声。



読むわけ、ねーだろ……。


読むわけ。



ーーズキン



そう……だよね。


知らない人からの手紙なんて、読むはずないよね。


高野くんはモテるから、こんなことには慣れっこで。


いちいち相手にしてたら面倒だもんね。


わたしの気持ちは、高野くんにとって面倒以外のなにものでもないよね。


わかってる。


やっぱり、伝えるべきじゃなかったんだ。


手紙なんて、書かなきゃ良かった。