校門を出たところで、キヨ君が立っているのが見えて速度を緩める。
目にうっすら浮かんだ涙を、慌てて腕でゴシゴシ拭った。
「……ごめんね! お待たせ」
ムリに笑顔を作って歩み寄ると、キヨ君はうつむかせていた顔を上げた。
「花梨ちゃん……強がらなくていいから」
眉を下げて悲しそうに笑うキヨ君。
心配……してくれてたんだよね?
キヨ君の悲しげな顔を見た途端、なぜだか涙がブワッと込み上げて来た。
「あ……っあれ? おかしいなぁ……涙が、出て来る……っ」
喉の奥が熱くなって、視界がゆらゆら揺れる。
胸がズキズキヒリヒリ痛かった。
「ご、ごめっ、キヨ、くん……っ」
「思いっきり泣いて、スッキリするといいよ。俺のことは気にしないで」
人目につく学校の校門前なのにも関わらず、キヨ君は優しくわたしの背中をさすってくれた。
温かい手の温もりと、キヨ君が持つ優しい雰囲気にどんどん涙が溢れて来る。