「えーっと……これって。体育館裏に来いって……?大事な話って」
読み終えたのか、高野くんが戸惑いながらわたしを見る。
ここで逃げちゃいけない。
「う、うん……わたしね、ずっと……好きだったの。高野くんのこと……一年生の時から」
目を見て言えなかった。
不安と緊張で、心臓がはちきれそう。
五月の暖かくてポカポカした陽気が辺りを包む。
額や背中に汗が滲んだ。
「へ、返事はわかってるんだけど……前に進むために……聞かせてもらってもいいかな……?」
もうここまで来たんだもん。
聞かなきゃ、前に進めない。
「マジ、か。呪いの手紙じゃなかったんだな」
「うそついて……ごめんなさいっ」
「周りにキヨとかいたからだよな。こっちこそ、ごめん」
高野くんの申し訳なさそうな声が聞こえて、恐る恐る顔を上げる。
「う、ううん……っ! あの時高野くんに知られてなかったこともショックで……それで呪いの手紙だなんて言っちゃったの」
あの時のことを思い出して、胸がキュッと締め付けられる。
それは今でも高野くんを好きだという証拠。
好きだから苦しくて仕方ないんだ。
「マジごめん。俺、顔と名前覚えるの苦手で……! けど、もう完璧覚えてるから」
「あ……うん」
そう言ってもらえただけで十分だよ。