『いたっけ?』 その声が頭の中で何度もリピートする。 ……いた、よ? 一度だけ隣の席だったこともあるし、消しゴムを拾ってもらったこともある。 わたし……高野くんにクラスメートだって認識されてなかったんだ? 地味で目立たなかったけど、名前くらいは知ってくれてるだろうって自惚れてた。 クラスメートなんだからって。 わたしは……何を勘違いしてたんだろう。 どうして、知ってもらえてるなんて思い込んでいたんだろう。 高野くんの世界に、わたしは存在してなかったのに。 ばかだよね。