「わたしは……杏子が羨ましいよ。自分の意見を持ってて、言いたいことをズバズバ言ってさ。なんでもソツなくこなすし、頭も良くて。先生からも信頼されてるじゃん! 美人だし、モテるし。ほら、わたし超平凡だから」
言いにくいことも本人にズバッと言うところは、いつも見習いたいなって思ってた。
自分の意見をはっきり言うのって、簡単そうに見えてすごく勇気がいること。
それを当たり前のように出来ちゃう杏子を、わたしはいつも尊敬してたんだ。
「それにさ、目に見えることだけが優しさじゃないと思う。杏子の優しさは伝わりにくいかもしれないけど、それでもわたしには伝わってるから……だから、そんなこと言わないで」
きっと、人って無いものねだりなんだよね。
わたしにないものを杏子は持ってて、杏子にないものをわたしが持ってる。
だからこそ、わたし達は一緒にいられるのかもしれない。