だけど、どこかで期待していた。
もしかしたら、これで少しは気にしてもらえるようになるんじゃないかって。
たとえ振られたとしても、気持ちだけ知っててもらえればそれでいい。
多くを望んだりなんかしない。
他の人にバレるのは嫌だけど、ただわたしの気持ちを届けたい。
それだけ。
「鈴峰、か……聞いたことある名字だけど……顔は……んー、わかんねーな」
えっ……。
高野くんから発せられた信じられない言葉に、時が止まったかのような錯覚に陥る。
それと同時に胸にものすごい衝撃が走った。
胸が苦しくて、息が出来ない。
「いやいや、鈴峰って俺らが一年の時同じクラスにいたじゃん! ちっこくて、フワフワした奴!」
「んー……いたっけ? 俺、あんまり仲良くない女子の名前覚えてねーし」
——ズキン
いたっけ……?
「うわっ、ひどい奴。鈴峰さん、かわいそう」
「まだ告白かどうかもわからないだろ。勝手なことばっか言ってんじゃねーよ」
「決まってるだろ、告白だって。じゃなきゃ手紙なんか入れねーよ」
「早く読んでみろって」
青ざめたまま動けない。
でも、別に『好きです』って書いたわけじゃないし……。
体育館裏に来て下さいって……。
でも、面白がってみんなについて来られたら嫌だな。
ズキズキと胸が痛む。
はち切れそうだよ。