ずっとそばにいる。


10分くらいで落ち着いたが、震えている。

裕翔「サツキ。俺いるから、寝ろ?ずっといるから。」
お腹の辺りをトントンと優しく叩くと静かに眠りについた。

涼太「あの・・・すみませんでした。」

裕翔「いや、知らなかっただろ?あれ?君ってサツキとフライトしたときにいたドクターだよね?」

涼太「あっはい。」

裕翔「サツキのこと知ってたの?」

涼太「武藤先生はうちの当直バイトで来ていたんです。」

裕翔「当直バイト?なんかあったんだな? だから朝、顔色悪かったんだ。」

涼太「武藤先生って看護師とか他のドクターと仕事以外のことは全く話さないんです。」

裕翔「それが普通。人と関わりたくないんだよ。10年以上一緒にいても、泣いたことなんて1回しか見たことないし。人に頼らないんんだよ。いや、頼れないか・・・ 思っていること、怒りも、恐怖も全部押し殺して、必死に生きてきてる。」

涼太「どういうご関係なんですか?」

裕翔「俺と光希、俺の妻が研修医だったときに病院に運ばれてきたんだ。虐待されてたんだよ。」

涼太「えっ?・・・そうなんですか・・・だから頭触ろうとしたら避けたんだ・・・」

裕翔「ああ。これ俺が言ったこと誰にも言うなよ?」

涼太「・・・あっ 分かってます。」

裕翔「君、サツキのこと好きだろ。」

涼太「えっ… なななないです!」

裕翔「気になってるだろ?顔真っ赤だぞ?まあいいけど。」

涼太「俺どうしたらいいんでしょう?」

裕翔「君次第だ。」

涼太「何がですか?」

裕翔「サツキは人と必要以上関わらないようにしているんだ。俺や君が想像している以上にサツキの過去は 大きい。君はサツキのすべてを受け止められるか?俺が言うことじゃないけれど、自信がないなら関わるな。サツキのためだ。」

涼太「・・・分かりません。」

裕翔「最後に一つ。あいつはどんなに傷ついても、どんなに辛くても、信じてる人は裏切らない。あいつには妹がいる。サツキは妹が傷つかないよう親の存在を隠して、子どもの時からほとんど1人で育ててきた。あいつが前言ってたんだ。「私は美華のためなら何でもする」って」