「ほら、いいって。旭。いつも翔太くんに任せて。悪いと思わないの」
ベニは、旭の肩をバンと叩いた。
旭は、いってぇーな、やめろよと言ってベニの頬を右手で撫でて、ベニの顔を見ながら幸せそうに表情を穏やかにしていた。
それは、俺にとって羨ましかった。
だが、俺はその行為に目を逸らした。
「……お邪魔な所、悪いんだけど。買い物、行くんでしょ? べ二」
俺がいることなんて忘れていたのか旭は我に返って言った。
「ああ、そうだな。ベニ行ってきな」
ベニは、はーいと手を上げてから、旭に行ってきまーすと言ってから美容院を後にした。
それが旭が見たベニの最後の姿だった。


