【完】あんな美容師に騙されない!



それで、今に至っている。

「今日の夕飯、買ってきて」

「……」

「え? なんで黙ってんの」

「なんで毎回夕ご飯だけ、俺に買わせんの」

「……だって、お前の方が料理美味いだろう」

「……旭も出来るだろう。料理」

「いいから、買ってきて」

旭は、強引だ。
でも、前よりは話すようになった。
ベニと付き合うようになって、旭は明るくなった。

「はいはい」

俺がそう返事をすると、ベニが奥の部屋から出てきた。

「翔太くん、買い物行くの?私も行く!」
長いロングスカートが床につきそうなのを右手で押さえて、ペンギンのような歩きをしてこちらに向かってきた。

その行為は、誰から見てもかわいい。

「ベニ、いいよ。翔太、一人で行けるし」

いつの間にかベニとは付き合いが長くなっていた。

「いいの。私が行きたいの。いいよね、翔太くん」

そう言って、ベニは笑顔で俺に微笑む。

その笑顔は、嘘なんてついていない。
ベニは、思っていることは正直に顔に出る。

性格が分かっているからか、とても嬉しい。旭には悪いが。

「……俺は別にいいよ」