【完】あんな美容師に騙されない!


「誰? 翔太くん。私に言いたいことがあったんじゃないの?」

ベニは俺に近づいて、俺の表情を伺うように聞いてきた。

勘がいいな、なんで分かるんだ。
俺の本当に言いたいこと、言えてないこと。

「……ないよ。でもね。ベニ、俺はベニが好きだよ」

「それは、友達としてだよね」

ベニはまっすぐ俺を見て聞いてきた。

「……そうだよ」

「うん、よろしくね」

ベニはそう言って、笑顔で俺に右手を差し出してきた。

俺も右手を出して、ベニと握手をした。

それは暖かくて、小さい手だった。

そしてベニの笑顔を俺が奪う訳にはいかないし、悲しい表情は見たくないと思えた。

カッチャ

ドアが開く音が聞こえた。
旭が来た。

「翔太、どうしたんだよ。こんなとこに呼び出して……ベニ?」