「誰? 翔太くん。私に言いたいことがあったんじゃないの?」
ベニは俺に近づいて、俺の表情を伺うように聞いてきた。
勘がいいな、なんで分かるんだ。
俺の本当に言いたいこと、言えてないこと。
「……ないよ。でもね。ベニ、俺はベニが好きだよ」
「それは、友達としてだよね」
ベニはまっすぐ俺を見て聞いてきた。
「……そうだよ」
「うん、よろしくね」
ベニはそう言って、笑顔で俺に右手を差し出してきた。
俺も右手を出して、ベニと握手をした。
それは暖かくて、小さい手だった。
そしてベニの笑顔を俺が奪う訳にはいかないし、悲しい表情は見たくないと思えた。
カッチャ
ドアが開く音が聞こえた。
旭が来た。
「翔太、どうしたんだよ。こんなとこに呼び出して……ベニ?」


