「分かりました。ではお二人様、当店の美容師をお好きなように選んで下さい」
と店員は言い、
美容師の顔がずらりと書いてあるリストを見せられた。
「波、誰にする?」
「いや、私帰るよ」
私は玄関に進もうとした瞬間、望に服を掴まれた。
「待ちなさい、折角来たんだから髪切って行こう?ねぇ?」
望は、優しい声で言うが、目は笑っていない。
私は、う、うんと返事をした。
望の勢いに負けた私は気を取り直して
美容師を選ぶことにした。
私は、美容師を見たら顔が同じ人に見えて吐き気が襲った。
「望、私の選んで。私、全部同じ人に見えて吐き気しそうだから」
私は口に手をあてそう言った。

