「海しゃん…」
納得したように驚く美桜。
本当に分かってるのかしら?
「おい、早く車に乗れ。ホテルに行くぞ」
アイツが文句を言ってくる。
「ちょっと、待ってよ!?」
慌てて用意された車に乗り込む。
もうせっかくの楽しい空気が台無しだわ。
ムスッと頬を膨らませた。
綺麗な海を眺めながら走りホテルに向かう。
着いたホテルもいかにもハワイのリゾートと言う感じで高級感が溢れている。素敵。
「どうだ?なかなかのホテルだろ?」
「まぁまぁかしら?
私が毎年行っている別荘に比べたら、地味だけど…」
つい見えを張ってしまった。
そうしたらアイツが溜め息を吐きながら
「ったく…金持ちは、すぐに別荘とか比べて
自慢ばかりしやがる」
不満そうに言ってきた。
(うっ……)
痛い所を言われてしまった。
その自慢した人は、元夫の隆史の事だろう。
「ちょっと、言って見ただけよ。
そんな事より早く部屋に行ってから泳ぎに行きましょうよ!」
私は、海に行きたくて仕方がなかった。
「ダメだ。これから俺は、仕事がある。
大人しく部屋の中に居ろ」
キッパリと否定をされる。
はぁっ!?
部屋の中って、何も出来ないじゃない。



