そんなことを考えていても意味はないと察した友里香は、前回同様、佑介の身体を揺すった。
 「佑介……!!」
 思いっきり身体を左右に揺する。前回はこれで佑介は目を覚ましたはずなのだが、今回は何故か目を覚まさない。
「……どうして……っ」
 そのことが悔しくなってきて、友里香は更に強く左右に揺すった。
 「こんなの……佑介なんかじゃないよぉ」
 揺すっても揺すっても、佑介の表情は変わらなくて―――。
 「佑介っっ!!」
 友里香が思いっきり叫んだその刹那。
 友里香の眼前にいたはずの佑介が、いなくなっていた。
 「……え?」
 友里香は当然、戸惑っていた。先程まで友里香の眼前で身体を左右に揺らしていた佑介が、違和感もなくいなくなっていたこと。
 「な、佑介?え、ちょ……何処に消えて……」
 混乱状態に陥りつつ、そんなに遠くへは行ってはいないと思う佑介を捜し始めた。
 「ていうか……佑介、どうしたのよ。なんで一瞬で消えちゃうわけ?そんなスキル、持ってなかったじゃん。ていうか、消える理由なんてあったのかなぁ?」
 佑介がいなくなった理由を、友里香は一生懸命考えていた。だが、考えても考えても答えは分からなくなっていくばかりで、今はしょうがなく、佑介を見つけることを優先した。
 「佑介ー?何所に行ったのー?」
 ミスト街道をただひたすらと歩いては、ただ佑介の名前を叫ぶ。真夜中に叫ぶと霊とかがやって来そうだが、それでも友里香は佑介の名前を叫んだ。
 「早く帰ってレポートまとめるわよー?」
 そんなことを叫んでいた時。
 友里香は背後に人気を察した。
 「!?」
 誰かがいる。友里香のもとへ確実に接近している。そう察した友里香は、手のひらに収まっている槍を広げた。友里香の身の丈ほどにま伸びた槍を友里香は構え―――。
 振り向き、人気の正体を確認した。
 「…………っ!?」
 友里香は驚愕した。
 「……佑介?」
 友里香の見つめる先にいたのは、佑介だった。