「サンキュウ・・・。」

やっと病室に着いた。

2人がかりでも息切れする。

「これが、サッカーボール・・・。実物は思ったより大きいんだね?」

椅子に置いてあったサッカーボールを星野さんは持ち上げた。

「ホントに見たこと無いの・・・。」

さりげなく半分嘘だと思っていた。

「テレビでは日本代表の試合は見たことあるけど・・・実物は。」

星野さんは単なるサッカーボールを見て、目を輝かせていた。


 なんかそれを見てると、可愛そうになってきて・・・。

「・・・あげれるよ。それ。」

「え?」

「高いボールなんだから大切にしろよ?」

「ホントに良いの?」

「どうせ、病院で遊ぶもの無いんだろ?それ蹴ってろよ。」

「ありがとう。」

「・・・おう。」


 プルプルプル・・・。

星野さんの携帯が鳴った。

「ゴメン!友達から電話来ちゃった。じゃあね。また明日。」

「おう。」

星野さんは出て言った。


 ・・・「また明日。」って?
また会いに来てくれるってこと?

少し、心の中で喜んだ。